HOME > 収穫祭の楽しみ > おいしさの秘密を探れ

村内全域が標高1100m以上、高原の冷涼な気候の川上村は、高原野菜の一大産地で、「野菜王国」とも呼ばれるほどです。なかでもレタスの生産量は日本一を誇り、初夏の川上村は、あたり一面のレタス畑が鮮やかな緑色に輝き、高原らしいさわやかな風景が広がります。川上村がレタス栽培に本格的に乗り出したのは、1950(昭和25)年。朝鮮戦争の際、アメリカ軍の野菜の需要をまかなうために始まりました。高原野菜の栽培に恵まれた気候と首都圏へのアクセスのよさから、川上村は一気に高原野菜の一大産地へと発展を遂げたのです。その後も自主検査態勢や土地の整備、新品種の開発などに積極的に取り組み、農業後継者不足問題とは無縁の、農業立村のトップランナーとなりました。農家の愛情たっぷりに育てられた川上村のレタスは、格別な甘みと愛情の濃さが自慢です。。

レタスはデリケートな野菜なので、レタス農家は気候との闘いなんです。ひとつでも「病気を出さない」「虫を出さない」「腐らせない」よう、畑全体に細心の注意を払っています。一箇所でもそうなっちゃうと、すぐに畑全体に広がっちゃいますから。いいときもあれば悪いときもあるのが農業ですが、品質よく育ったレタスが出荷されていくのを見ていると、今晩にも全国の皆様の食卓に上るのかと感無量ですね。

全国的に農家の後継者不足が問題になっているなか、川上村は若い世代の帰農が圧倒的に多く、「後継者100%」と言っていいほど。20代の農家も多いので村内の就農者の平均年齢も若く、中国をはじめ海外からの研修生も多数いるんです。農業が元気なので、村全体が活気にあふれています。

レタスはやっぱりサラダで、できるだけそのままの状態で食べるのがいちばん美味しいと思います。朝、畑でお腹がすいてると、採ったレタスを洗っただけでそのまま食べちゃうこともあるくらいですよ(笑)。固く締まったレタスがいいという方もいますが、僕は、葉がやわらかくふわっとしているレタスのほうが好きなんですよね。

八ケ岳の西麓、諏訪湖まで続くゆるやかな斜面に広がる原村は、八ヶ岳の8つの峰が全て見える高原の村です。年間を通じて降水量が少なく、湿度も低いさわやかな気候なので、夏場は落ち着いた雰囲気の避暑地として多くの観光客でにぎわいます。高冷な気候を生かした高原野菜のメッカとして知られ、特にセルリー(セロリ)は、夏場に出荷される露地ものでは、全国シェアの9割を占めるほど。セルリーは高温に弱く、大量の水を必要とするとても育てにくい野菜ですが、意欲を持った生産者が多く、早い時期から村一丸となって基盤整備を進めたことが功を奏し、一大産地へと発展を遂げました。原村で栽培されるセルリーは「諏訪3号」という村独自で開発した品種で、門外不出といわれています。みずみずしさ、シャキシャキした歯ごたえ、まろやかな香りが特長の高品質なセルリーです。

「苗半作」という言葉があるように、セルリーの栽培はいい苗を作ることが大きなポイントなんです。育苗期に低温が続くと花が咲いてしまい、大きく育ちませんし、霜の心配もあります。暑さにも弱いので、畑に定植してからはたっぷりと水をやることが大事なんです。うちの畑では、歯ごたえは生かしつつ筋張っていないやわらかいセルリーを作るために、有機物を増やして栽培しています。

栽培日数が長いうえ、水やり、施肥、敷き藁と、とにかく手のかかるセルリー。収穫も一苦労で、作業開始は毎朝午前2時。直射日光が苦手なので日の出前に作業を終わらせなければいけません。つややかな緑色がまぶしいセルリー畑は、農家の愛情の賜物なんです。

畝に沿って設置されている細いパイプから、八ヶ岳の湧水が細かいシャワーとなってセルリー畑にこんこんと降り注ぎます。夏の日差しにキラキラ光るシャワーは、大量の水が不可欠なセルリー畑ならではの光景です。